親の施設見学で家族が確認したいこと——入居後の暮らしと実家のチェックリスト
老人ホームや介護施設の見学では、建物の新しさや説明してくれた方の印象に目が向きがちです。
もちろん雰囲気は大切です。ただし、必要な介護・医療の条件はご本人の状態によって異なります。担当のケアマネジャー、高齢者なんでも相談室、入院中であれば病院の退院支援担当などにも確認し、家族だけで適否を判断しないことが大切です。
先に結論をお伝えすると、見学では「設備を見る」「質問する」「書面で確かめる」の3つを分けて確認することが重要です。一度の見学ですべてを決める必要はありません。候補ごとに同じ項目を確認すると、印象だけに流されず比較しやすくなります。
見学前に「譲れない条件」を3つまで決めます
見学先を比べる前に、ご本人とご家族で条件を整理します。
- 夜間も必要な介助を受けられること
- 現在の通院や医療処置を続けられること
- 毎月支払える総額の範囲に収まること
- 家族が無理なく訪問できる場所であること
- 一人で静かに過ごせる居室があること
条件が多すぎると、どの施設にも決められなくなります。「譲れない条件」「できれば満たしたい条件」「調整できる条件」に分け、譲れないものは3つ程度に絞ると判断しやすくなります。
まだ条件を整理できていない場合は、先にこちらの記事をご覧ください。
親の施設見学前に、家族で整理しておきたい5つのこと——入居後の実家も含めて考える
老人ホーム見学で確認したい15のチェックポイント
1.必要な介助を受けられるか
入浴、排せつ、食事、移動など、現在必要な介助を具体的に伝えます。「介護対応」と書かれているだけで判断せず、誰が、どの時間帯に、どこまで対応するのかを確認しましょう。
2.夜間の職員体制はどうなっているか
夜間に勤務する職員数、看護職員の有無、緊急時の連絡・対応方法を聞きます。「24時間対応」という表現が、介護職員の常駐なのか、看護職員の常駐なのか、外部への連絡体制なのかも確認が必要です。
3.認知症の症状に対応できるか
認知症の受け入れ可否だけではなく、外へ出ようとする、夜間に眠れない、食事を拒むなど、現在見られる症状を伝えます。状態が変化した場合も生活を続けられるか聞いておきます。
4.医療処置と通院を続けられるか
服薬管理、インスリン、たんの吸引など、必要な医療処置への対応時間と追加費用を確認します。協力医療機関の名前だけでなく、定期受診、緊急時、入院時の流れも聞きましょう。
5.看取りや状態変化への方針はどうか
看取りを希望するかどうかは、すぐ決められないこともあります。現時点では、どのような状態になると入院や住み替えが必要になるのか、施設としてどこまで対応しているのかを確認します。
6.毎月の支払い総額はいくらか
家賃、管理費、食費だけでなく、介護保険の自己負担、医療費、おむつ代、日用品、理美容、洗濯、通院同行などを含めた月額の目安を聞きます。介護度が上がった場合の増額も確認してください。
7.入居時と退去時にかかる費用は何か
入居一時金、敷金、前払い金、原状回復費用などを確認します。前払い金がある場合は、初期償却、返還期間、退去時の返還条件を書面で確認します。
8.居室で安全に生活できるか
ベッドからトイレまでの距離、段差、手すり、ナースコール、車いすでの動きやすさを実際に見ます。モデルルームだけでなく、可能であれば入居予定の居室も確認します。
9.食事を無理なく続けられるか
食事時間、刻み食やミキサー食、アレルギーへの対応、体調不良時の代替食を確認します。食堂の雰囲気や、食事を急かされていないかも見ておきたい点です。
10.入浴や清潔を保つ方法が本人に合うか
入浴回数、曜日、個浴・機械浴の設備、拒否があった場合の対応を聞きます。追加料金で回数を増やせる場合は、その金額も確認します。
11.日中をどのように過ごしているか
予定表だけでなく、見学した時間帯の入居者の様子を見ます。交流を好む方と、一人で静かに過ごしたい方では、合う環境が異なります。レクリエーションが自由参加かどうかも確認しましょう。
12.外出・面会・持ち込みのルールはどうか
面会できる時間、外出や外泊の手続き、家族との食事、居室へ持ち込める家具・家電を確認します。家族が訪問しやすい駐車場や交通手段も、入居後には大切です。
13.職員の声かけと入居者の表情はどうか
職員が入居者をどう呼び、どのような言葉で接しているかを見ます。職員同士のやり取り、廊下や共用部の清潔さ、においなども、日常の運営を知る手がかりになります。
14.苦情や事故があったときの窓口はどこか
相談・苦情の担当者、事故発生時の家族への連絡方法、第三者窓口の有無を確認します。気になることを伝えやすい体制かどうかも、長く暮らすうえで重要です。
15.退去や住み替えが必要になる条件は何か
入院が長引いた場合、医療依存度が上がった場合、認知症の症状が変化した場合など、退去を求められる可能性がある条件を確認します。口頭だけでなく、契約書や重要事項説明書の該当箇所も見せてもらいましょう。
見学当日に聞き切れなくても大丈夫です
見学では、説明を聞きながら施設内を歩くため、質問を忘れてしまうことがあります。質問項目を印刷するか、スマートフォンへ保存し、家族のうち一人が記録係になると比較しやすくなります。
写真撮影や録音をしたい場合は、必ず施設の許可を得てください。ほかの入居者や職員が写らないよう配慮も必要です。
見学後は、帰宅してから次の3点を家族で書き残します。
- 譲れない条件を満たしていたか
- 説明が曖昧だった点、再確認したい点
- ご本人が安心できた点、気になった点
点数だけで順位を決めるのではなく、「なぜ合うと思ったか」「何が心配か」を言葉にしておくことが大切です。
契約前はパンフレットだけでなく書面を確認します
千葉県は、県内の有料老人ホーム一覧と重要事項説明書を公開しています。重要事項説明書には、事業者、建物、職員体制、サービス、利用料金、入居者の状況など、比較に必要な情報が記載されています。
ただし、県が掲載する重要事項説明書は実際の契約時の様式と異なる場合があります。空室、料金、介護・医療への対応も変わるため、契約前に施設から最新版を受け取ってください。
確認したい書類は次のとおりです。
- 重要事項説明書
- 入居契約書
- 管理規程
- 料金表と追加費用一覧
- 退去・返金に関する規定
その場で署名せず、できれば持ち帰ってご本人・ご家族で確認します。分からない項目は、施設へ質問した内容と回答も記録しておきましょう。
例えば、こんな相談の整理になります
流山市で暮らす80代のお父さま。退院後に一人暮らしを続けることが難しくなり、ご家族が2つの施設を見学することになったとします。
一方は建物が新しく駅から近い施設、もう一方は少し距離があるものの、夜間の介護体制と現在の通院先との連携について具体的な説明がありました。
見た目の印象だけなら前者が魅力的でしたが、ご本人に必要な夜間介助、通院、毎月の総額という3つの条件で比べると、確認すべき違いが見えてきます。曖昧だった追加費用を再確認し、ご本人の希望も聞いたうえで、家族が判断できる材料をそろえていきます。
施設が決まったあと、実家に住む人がいなくなる場合は、入居準備と同時に家財、郵便物、家の管理なども考える必要があります。すぐ売る・片付けると決めず、ご本人が戻る可能性と家族の負担を整理して、次の順番を決めます。
親が施設に入ったら、家はどうする?「戻る可能性」で考える片付けと管理
施設の条件は専門窓口へ、入居後の実家は相談所へ
施設の介護・医療体制がご本人に合うかどうかは、ケアマネジャー、高齢者なんでも相談室、医療機関などの専門職にも確認します。入居が決まると、引っ越し、住所変更、家財、空き家管理など、実家側にも新しい課題が生まれます。
流山・東葛地域 空き家のこれから相談所では、施設入居後に人が住まなくなった実家について、家財、管理、相続・手続きなど、必要なことと進める順番を整理します。
- 何度でも、ご相談に費用はかかりません
- 実際のご相談は訪問またはオンラインで行います
- 依頼先はご自身で選べます
- ご同意後に必要な情報だけをおつなぎします
- 進行を支援し、完了後の状況まで確認します
相続後の実家や空き家について、電話・LINE公式・問い合わせフォームで相談日時をご予約ください。相談は現地訪問またはオンラインで行います。
LINE・フォームは24時間、相談日程の予約を受け付けています。電話受付は平日9:00〜17:00(相談担当:中原)です。
